はじめに
iPhone 高くなりましたね。中古で出回っている iPhone の購入を検討されている方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
中古 iPhone を探すと「バッテリー容量 100%」「新品バッテリー交換済み」などの文言を見かけます。バッテリーが新品なのはいいことですが、そのバッテリーが「アップル正規サービスプロバイダで交換された純正バッテリー」なのか、それとも「純正ではない安価な互換バッテリー」なのか、気になるところです。
本記事では「解析データ(Analytics ファイル)」を利用して、iPhone のバッテリー状態を知る方法を解説します。iOS は 18.4.1 で確認をしました。ちなみにこの方法は iPad OS 18.4.1 でも利用できます。
iPhone の解析データを取得する
解析データは次の手順で取得します。
- iPhoneの「設定」を開きます
- 「プライバシーとセキュリティ」 > 「解析と改善」を開きます
- 「iPhone 解析を共有」を ON にして、普通に使用します
- 使用しない場合は、電源が切れないようにバッテリー残量に注意して、スリープ状態にしておきます
- 「解析データ」を開き、「Analytics-2025-04-30-090005.ips.ca.synced」という形式のファイルを開きます
- 「Analytics-年月日-時間-xxxx」という形式になっています
- 右上の共有ボタンをタップして、新規クイックメモに保存します。
- もしくは、PC などに転送できるアプリを選択して、解析データを保存します
解析データからバッテリーに関する情報を探す
解析データはテキストファイルなので、iPhone のメモアプリに保存して開けます。PC に転送してテキストエディタで開いてもいいので、お好みで。
次の 3 つのキーを検索することで、バッテリーの状態を知ることができます。
last_value_CycleCount
last_value_NominalChargeCapacity
last_value_AppleRawMaxCapacity
各項目の意味はアップルより公開されていませんが、名前と値から以下のように推測することができます。
last_value_CycleCount
バッテリーの充電サイクル回数を示すとみられます。
last_value_NominalChargeCapacity と last_value_AppleRawMaxCapacity
この2つは、バッテリーの現在の最大容量を示しているものと見られます。単位はバッテリーの容量を表す mAh であると予想されます。どちらも同じくらいの値を示すことが多いので、両方の値を見比べて、最大容量を判断するのがよいでしょう。この 2 つの値が大きくずれている場合は、バッテリーに何らかの異常を疑ってもいいと思います。
キーは複数記録されているが、どれかひとつを見ればよい
通常、1つの解析データの中に同じキーが複数回登場しますが、記録内容が変わらないことが多いので、最初に見つかった記録を 1 件見るだけで十分と考えられます。
"last_value_CycleCount":169,
"last_value_CycleCount":169,
"last_value_CycleCount":169,
"last_value_CycleCount":169,
"last_value_CycleCount":169,
手元の 4台の iPhone SE を分析してみた
私が実際に分析した 4 台の iPhone の数値は以下の通りです。
2025 年 1 月に新品で購入した iPhone SE3
- last_value_CycleCount: 38
- last_value_NominalChargeCapacity: 2051 mAh
- last_value_AppleRawMaxCapacity: 2065 mAh
- 最大容量表示は 100%
2025 年 2 月にアップルストアで新品バッテリーに交換した iPhone SE3
- last_value_CycleCount: 79
- last_value_NominalChargeCapacity: 2025 mAh
- last_value_AppleRawMaxCapacity: 2034 mAh
- 最大容量表示は 100%
2024 年 10 月に新品で購入した iPhone SE3
- last_value_CycleCount: 169
- last_value_NominalChargeCapacity: 1956 mAh
- last_value_AppleRawMaxCapacity: 1963 mAh
- 最大容量表示は 98%
2023 年 4 月にアップルストアで新品バッテリーに交換し、2 年間使用した iPhone SE2
- last_value_CycleCount: 810
- last_value_NominalChargeCapacity: 1543mAh
- last_value_AppleRawMaxCapacity: 1556mAh
- 最大容量表示は 85%
こうして見ると、使用に伴ってサイクルカウントが増えると、バッテリー容量が徐々に減少していくことが分かります。
新品の iPhone のバッテリーの容量は有志が調査をして公開されていますので、その値と比較することで、新品の状態から、どの程度バッテリーが劣化しているかを判断できます。たとえば、iPhone SE2 の新品のバッテリー容量は約 1800 mAh と言われています。上記 2 年間使用した iPhone SE2 の last_value_AppleRawMaxCapacity 1556mAh と 新品時のバッテリー 1800 mAh を比較すると、次のような式になります。
1556 / 1800 * 100 = 86.4 %
iPhone バッテリー設定の最大容量 85 % と同じくらいの数値になりました。
解析データの各項目の仕様はアップル公式より公開されていませんが、上記のように、複数の iPhone の純正バッテリーの値を比較することで、その値がどのような意味を持つのか、値は信頼できるのか、推測することができます。
まとめ
iPhone の解析データを使うことで、設定アプリ上では見えない詳細なバッテリーの情報を知る方法を解説しました。特に「中古の iPhone」においては、このような数値検証は、状態判断してとても有用です。新品で購入した iPhone を使用している場合は、バッテリー交換の時期の予測もできます。みなさんも一度この分析方法を試してみてください!